初めてのクラブ大会だった「立山カップ’94」から早7年が経過した。ハミングバードパラグライダークラブの恒例行事となった「トミーズカップ」が今年も5月27日(日)に開催された。
クラス1では「パイロンレース」を、クラス2では「水運びレース&ターゲット」競技を行ってきたが、クラス1は96年、97年と成立して以来のキャンセル続き。昨年に至っては、大会自体が成立していなかった。
しかし、今年はまさに「奇跡の成立」とも呼ぶべき急速な天候の回復に助けられ、両クラスとも無事に競技が行われ、トミーズカップとしては4年振りの成立となった。
トミーズカップ2001
曇天&雲低低し
大会当日の朝、予報通りに天候は曇り。平野部の雲低は低く、競技開催は困難であるだろうことを告げていた。エリアでも、雲低が低く時折テイクオフまでもがガスに覆われてしまう。今回特別に競技委員長として参加して頂いた扇澤氏を交え、9時30分から開会式が行われた。井上会長の挨拶の後、競技委員長の扇沢氏より
「レースは困難であるため、クラス1もターゲット競技を行うことと、テイクオフは使えない可能性が高いので、ゲレンデ中段から飛ぶことを想定し、Pikaichi、オギー、関沢校長の3名で下見に行くから飛ぶ準備をしてウェイティング」
がコールされた。
下見部隊がランディングする10時過ぎから天候は変化の兆しを見せ始めた。雲低が上がり始め、空気が暖かく感じられるようになった。この兆候を見逃さず、レースの可能性も残すため、クラス1の選手にはレースも出来る準備をしてテイクオフに上がるように再度指示が出された。
見事なテイクオフ
選手全員がテイクオフに集合し、とりあえず天候の様子を見ながらクラス1の競技を検討することとし、まずはクラス2から競技を開始することになった。競技開始は11時。
クラス2トップでテイクオフしたのは、グラハンには定評のある小林氏。コップの水は多少こぼしたものの、見事にテイクオフし、ランディングにおいてもターゲットをキッチリ踏んだ。その後、次々とクラス2の選手がテイクオフし、順調に競技は進んだ。
スピードラン
クラス2の1本目が終了し、ダミーとして土田氏、魚崎氏がテイクオフ。雲低はやや上がった感じで、ダミーも上げている。レースは可能。ここで、スピードラン競技を行うことを決定。タスクは
TO2(スタート・地上で写真撮影)-K(金山リフト)-7(クワッドリフト)-3-1(パラダイス食堂)-3-7-LD1(時計台)
の11.2Kmとなった。現在の雲低は1200m弱。極楽坂テイクオフ(1070m)からは100mちょっとしか高度が取れないが、パイロンの位置はテイクオフよりも低いことと、それほど上げなくてもタスクはこなせるとの判断で12時にゲートが開けられた。
急速な天候回復
トップでテイクオフしたのはウィスパーもっちこと塚本。続いてボナンザ佐藤。しかし、金山は思いの外渋く、優勝候補の一角を担うこの二人がいきなりランディングしてしまうと言う波乱の幕開けとなった。3番手はPikaichiことVERTEX藤野、続いてセクター本馬が金山で粘り、この二人が上げ始めたタイミングで他の選手達にも動きが・・・。
実質トップでテイクオフした藤野が序盤のレースを引く展開となり、後続がそれに続く形となったが、天候はここで急速に回復し、雲低も上昇し始めた。当初は1200mまでしか上げられないコンディションで、高度温存策を優先にレースをこなした藤野や本馬らとは裏腹に、後から出た選手は高度1400mまで取れる状況になっていた。しかも、尾根上はハイウェイと化し、上げながら移動出来るいつもの条件になり、高い高度でレースを進めた後半テイクオフ組の選手達が好タイムを叩き出した。
リフライトした佐藤・塚本の両選手は、共に26分と言うタイムでタスクをこなした。
奇跡の成立
結果、クラス1は15名のゴールを出し4年振りにレースが成立。その中で絶妙のタイミングでテイクオフしたVERTEX斉木氏が29分の好タイムで優勝。VERTEX藤野、NOMAD広野が37分の同タイムで2位となった。
女子優勝はシリウス塚本由起が45分、機体クラスDHV2トップではSABER西尾が43分、機体クラスDHV1-2以下ではCARBON早風が39分でトップを取った。
一方、クラス2も無事2本の競技を終了し、優勝は見事なテイクオフで水を温存した松浦、2位には2本ともにターゲットを踏んだ小林、3位には2本目に水を残し、しかもターゲットを踏んだ稲美が入賞した。
頑張れ!!扇澤
競技の後は、バーベキューで懇親会が行われたが、今回は5回連続世界選手権出場の扇澤氏の壮行会も同時に行われた。お手製の横断幕の前で、クラブ会長井上氏がオギーにエールを贈った。