パラグライダーを行う上で、安全管理上の問題からも無線を使った通信手段を確保する必要があります。
現在は、空中利用が可能な
デジタル簡易無線登録局
と言う種類の無線を利用しています。
デジタル簡易無線とは
デジタル簡易無線には免許局と登録局の2種類があります。
従来は免許局のみでしたが、平成20年8月に制度化され、従来の「免許制度」の他に「登録制度」が導入されたことにより利用しやすくなりました。
免許局と登録局の違いは「キャリアセンス(通信が行われている場合は送信ボタンを押しても電波が送信されない)機能」があるかないかです。登録局はキャリアセンス機能がある無線局と言うことになります。
パラグライダーで登録局を利用するのは
パラグライダーにおける無線通信の目的は、主に安全管理上の問題におけるものと講習などの業務に利用することが挙げられます。そして、パラグライダーが空中を飛行することから
空中での電波利用(送信)が認められる無線
である必要があります。その要件を満たすのが登録局なのです。
登録局にも2種類の無線機が存在します。一つは、
- 全国の陸上及び日本周辺海域
が運用範囲となり、周波数が350MHz帯30chを有し、送信出力5Wまで許可されているもの。もう一つは
- 全国の陸上及び日本周辺海域並びにそれらの上空
が運用範囲となり、周波数が350MHz帯5chを有し、送信出力1Wまで許可されているものです。
パラグライダーで利用するのは後者の上空利用可能な無線機です。また、上記登録局の周波数は各々独立したものが与えられており、相互に通信することはできません。
無線機の選択
パラグライダーで利用できる上空利用可能な無線機は以下になります。(追記しました)
◆八重洲無線VXD450s
※以前はYAESU社のVX-D291Sと言う機種がありましたが、現在は450sに切り替わっています
ICOMのDPR30は小型軽量でアンテナ内臓タイプです。しかも、陸上用と上空用の両方をセットしたモデルになっています。ただし、アンテナ内臓と言うこともあってか、地上と上空での交信はそれほどでもなくても、地上同士やテイクオフと地上などで間に障害物などがある場合は、上手く通信できない場合もあるようです。ただ、軽さが魅力で既に多くのパイロットが使っているようですね。
◆八重洲無線VXD1S(hamlife.jp記事へリンクしています)
ICOMの小型機に対抗して…と言うわけでもないでしょうが、八重洲から5月に新しいモデルが発売されます。(既に発売されたようです)
このVXD1SはICOMのDPR30と同様に、陸上と上空の両方をセットしたモデルになります。そして、アンテナがちゃんと外付けになっているのでそこそこ飛ぶのでは?と思います。また、小型軽量コンパクト機なので、初期にデジタル無線を買ったVX-D291Sユーザーの方は買い足しもしくは買い替え対象になるものと思われます。
これ以外の無線機はいわゆる陸上用と考えて差支えないと思ってください。
通常は、あなたが通っているパラグライダースクールで購入(もしくは取り寄せ)出来ると思いますのでスクールにご相談下さい。
登録申請の方法
登録局の無線機を利用するためには、お住まいの地域を管轄する総合通信局に申請し免許を受ける必要があります。
地域管轄である各総合通信局のホームページに申請方法などが解説されていますので、そちらを参考にして申請を行うのが最も間違いのない方法です。
申請に必要な申請書フォームもダウンロードして利用することが出来ます。
ここでは、北陸総合通信局のホームページをリンクしておきます。
申請書類の記入方法
電子申請を行うことも可能ですが、その際は電子証明書を取得したりカードリーダーを用意する必要があり、個人で行うにはいささか敷居が高いので、従来どおりの紙で申請するのが最も簡単です。
ですので、ここでは紙での申請方法をご紹介します。
※申請書をダウンロードした時点で既に記載されている項目がありますが、記載が必要な個所を解説します
申請書は2枚になっています。
1枚目
記入すべき箇所は以下の項目です。
- 申請年月日:書類右上の平成○○年○○月○○日の部分。書類を提出する日付を記入します
- 申請者住所:あなたの住所を記入します(フリガナも忘れずに)
- 申請者氏名:あなたの名前を記入します(フリガナも忘れずに)
※印鑑は、申請書類を自書する場合は省略できますが、捺印しておいた方が無難だと思います
- 無線設備の規格:「デジタル簡易無線局」と記入します
- 無線設備の移動範囲:「全国の陸上及びその上空」と記入します
- 周波数及び空中線電力:「351.16875MHz~351.19375MHz までの 6.25kHz 間隔の 5 波 1W」と記入します
- 備考:日中でも連絡が取れる電話番号を記入します
2枚目
ここでは、それぞれの無線機固有の番号などを記入する必要があります。
無線機のバッテリーを外すと、裏にシールが貼られていますのでそちらを参照して記入して下さい。
- 無線局の種別コード:CRと記入します
- 運用開始の予定期日:あなたが無線機を使い始める予定年月日を記入します。申請書には申請日から15日以降の日付を記入する旨記載がありますので、余裕を持った日付が良いかと思います
- 希望する登録の有効期間:記入する必要がありません。未記入の場合は運用開始予定日から5年が有効期限になります
- 開設の目的:「簡易な業務に使用するため」と記入します
- 無線設備の常置場所:通常はあなたの住所を記入します(フリガナも忘れずに)
- 識別符号:デジタル無線機の裏に貼られているシールのCSMと書かれた場所の番号を記入します
※写真の場合は2001から始まる番号になります
- 適合表示無線設備の番号:デジタル無線機の裏に貼られているシールの技適マーク横に書かれたアルファベットを含む番号を記入します
※写真の場合は001TVAA1002になります
- 製造番号:デジタル無線機の裏に貼られているシールのシリアル番号を記入します
※写真の場合は2G57から始まる番号になります
申請手続き
申請書を記入したら、1枚目に2,300円分の収入印紙を貼ります。(郵便局で購入してください)
また、封筒に提出する総合通信局の住所を記載し、免許状を返送するための返送用封筒にあなたの住所を記入し、82円切手を貼って同封して郵送します。
以上で申請手続きは完了です。数週間後には、返送用の封筒で免許状が送られてくることになります。
※追記:私が申請したところ、木曜日に投函して火曜日に免許状が送られてきました!早かったです!!
デジタル無線は私たちにとって重要な通信手段です。有効期限は5年ですので更新手続きも必要になりますからご注意下さい。
また、電波利用料も支払う必要がありますので、忘れないようにしてください。
以上、デジタル簡易無線の申請方法についてでした。